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2019年 文化講演会の開催報告

[事務局からのお知らせ]

一般社団法人 恵迪寮同窓会は、北大ホームカミングデ-に2013年より参加し、北大・恵迪寮の精神と寮歌の継承を目的に「文化講演と寮歌の集い」を行っています。

今年は9月28日(土)、クラーク会館大集会室2に、北海道大学名誉教授・長澤徹明先生を講師としてお迎えし、「北海道開拓と札幌農学校」と題しご講演を頂きました。

北大農学部出身の長澤先生は北大農学部、北大大学院農学研究院でながく教育・研究に携われ、ご専門は寒冷地の農業土木学、地域環境学です。現在は、NPO篠津泥炭農地環境保全の会 理事長、(公財)札幌市公園緑化協会 理事長などの要職をつとめられています。

ご講演は、「北海道開拓政策と札幌農学校」、「札幌農学校の教育と卒業生」、「特色ある農村景観の形成」、「泥炭地開発」について多くの史的資料を駆使されスライドを用いて語られました(当日資料pdf)。

当日資料;長澤先生講演資料;北海道開拓と札幌農学校(恵迪寮)

新渡戸稲造が北海道庁技師本務として篠津泥炭地試験に関っていたこと、当時農業土木学の主対象が東大駒場では水田の区画整理であったのに対し北海道では時任一彦による「開拓」として特色づけられること、現在の北海道の農村景観を特徴づけている格子状区画が内田瀞らによる植民地選定により形成されたことなど興味深い内容を混ぜ、北海道開拓には札幌農学校・農業土木が大きく関わってきたことなどを具体的に示されました。

まとめ「温故知新」では、まず、内村鑑三が「後世への最大遺物」において「後世に遺すべきものは、金か・・・事業か・・・思想か・・・これらはいずれも遺す価値はあるが・・・最大のものではない、何人にも遺すことの出来る最大のもの・・・それは「勇ましい高尚なる生涯である」と・・・」としたことを紹介されました。

これに感銘を受けアフガニスタンで自ら重機を駆使し農業用水路開発にあたる医師・中村哲氏(九大医卒)が「飢餓と渇水を前に医療人はあまりに無力で辛い思いをする。清潔な飲料水と十分な農業生産があれば、病の多くは防ぎうるものであった。私たちは「百の診療所よりも一本の用水路」を合い言葉に、体当たりで実事業に邁進してきた」ことを紹介され、思想、事業、人の生涯、それらの関わりについて示唆に富むご講演でした。

内村鑑三の思想が時空をこえ現実の課題解決に取り組む中村哲氏に影響を与えたことと彼の生き様は、恵迪寮同窓会会員の心に往時の感激を想い起させるとともに、さらにはまだこれから行く先・生き方に示唆を与えるものでした。

恵迪寮同窓会員にくわえ小樽商大関係者の参加もあり、計70名の参加を得ました。ご多用のなかご講演されました長澤徹明先生には大変感謝申し上げます。

(報告者;一般社団法人恵迪寮同窓会文化常任委員長 野本 健(S47入寮))

 

講演をする長澤徹明先生(北大名誉教授)

 

熱心に聴講する参加者①

 

熱心に聴講する参加者②

 

熱心に聴講する参加者③

 

質問を受ける長澤徹明先生

 

以上