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2019年 北海道恵迪寮同窓会 開識社講演会「最新恐竜研究 in 2019」の開催報告

[事務局からのお知らせ] [北海道支部からのお知らせ]

例年10月中に開催していた開識社講演会でしたが、現寮生の参加のしやすさを考え、寮祭準備の繁忙時期を避けて11月7日(木)の開催となりました。場所は、恒例の札幌市時計台ホール。昨年度は改修のために使用できなかったため2年ぶりです。

講師は、北海道大学総合博物館教授で古脊椎動物学者の小林快次先生、演題は、「最新恐竜研究 in 2019」です。先生は、カムイサウルス・ジャポニクス(むかわ竜)の全身骨格の発掘・研究で日本中に恐竜ブームを巻き起こした中心的人物です。

おとなから子どもまで大人気の恐竜博士の講演とあって、これまでのように締め切りなし・とびこみ参加OKでは、「会場に入りきれなくなるかも」と思われたため、1週間前に締め切り日を設定、さらに定員に達した場合はその前に締め切ることもあるとの断りを入れて広報を行いました。

予想通り、道新の催し案内に掲載後、申し込みが殺到し、締め切り日には会場収容可能最大人数を若干上回ってしまいました。が、「例年、欠席者も相当数出るし、いざとなれば役員と現寮生には立ってもらおう」と締め切りに間に合った申し込みはすべて受諾することにしました。しかし、当日は残念ながらみぞれ交じりの寒気身を刺す悪天候となり出足をそぎました。それにもかかわらず、125名の方にご参加いただきました。

当日準備のため開場20分前に時計台裏入り口に並ぶと、「こちらから入れますか?」と一般参加者が次々と。お母さんと一緒に並んだ小学校3年生の男の子は「むかわ町子ども化石クラブ」の会員で「小林先生の本は全部読んでいる」のだとか。
また、真っ先に並んだ(おそらく20歳代の)女性は、この講演を聴くためだけにわざわざ東京からお越しになられたとか。「小林先生の講演は申し込みが少しでも遅れると満杯で断られることが多いんです。最近2回続けて聴けなかったので、今回は参加できてうれしい!」とのこと。
開場後すぐ、10人以上の小中学生がノートと筆記用具を手に、早々と会場最前部に陣取り、次々来場する参加者に「本日は満員です。席を詰めてお座りください。」とアナウンスを繰り返すという、いつもの開識社講演会には見られない状況のもと、時間通り午後6時の時計台の鐘の音を合図に講演会が始まりました。

講演は、「最新恐竜研究in2019」のテーマ通り、「ファルコン・アイ(ハヤブサの目)を持つ男」「ダイナソー(恐竜)小林」の異名を持つ小林教授が、国内外で文字通り体を張った命がけの発掘調査や研究によって得られた知見を紹介しながら、最新恐竜学の基礎から説明していただける非常にわかりやすいものでした。

「多くの恐竜に羽毛があった」「鳥類は恐竜の進化形」など、ひと昔前の恐竜図鑑には載っていなかった話やカムイサウルス(むかわ竜)の発掘研究の経過の話など、誰もが知的好奇心を満たされるものでした。また、「カムイサウルスは(ティラノサウルスが闊歩していた)白亜紀後期に存在した恐竜。最近芦別で、ティラノサウルス類と思われる恐竜の部分化石も見つかっており、北海道はまだまだ恐竜発掘・研究の可能性を秘めたフィールド」との話に、夢とロマンをかきたてられる思いがしました。

一方で、6600万年前のメキシコ・ユカタン半島への巨大隕石の落下・衝突を機にした「恐竜の絶滅の経過を研究することは、現代の生物(人を含む)の存続のための知恵につながる。」との話は、示唆に富んだものでした。「地球に生物が誕生して以来最大の生物絶滅期は、恐竜時代よりもずっと前の2億5200万年前。そのときは90パーセント以上の生物が絶滅した。

しかし、現代における生物絶滅の状況は、その時よりもずっとハイペースで進んでいる。」との話に驚くとともに、長大な時間のスパンで物事をとらえ、そこから真理を得ようとする古生物学の神髄を垣間見たように思いました。

講演中、子どもたちや学生の質問にやさしく丁寧に答え、講演会終了後も個別の質問や写真撮影・サインに笑顔で応じる小林先生の姿に、先生のもとで将来の恐竜博士が次々と生まれ、「恐竜研究するなら北大!」と全国の恐竜少年少女がこぞって北大を目指すようになるのではないかという確信に近い想像をしてしまいました。

(文責;北海道恵迪寮同窓会幹事 開識社担当 町田 幸作(S60入寮))

①講演会会場の札幌市時計台の正面入り口

 

②当日の悪天候振り

 

③講師の小林先生を紹介する北海道恵迪寮同窓会の八重樫副会長(陣羽織着用)

 

④講演する小林先生

 

⑤熱演する小林先生

 

⑥熱心に聴く参加者の皆さん

 

⑦スクリーン上に映し出されるむかわ竜

 

⑧小林先生との写真撮影や出版本へのサインを求めて並ぶ参加者の皆さん

 

以上