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遠友夜学校の今

[事務局からのお知らせ]

昨日(平成26年7月27日)、元道立高校教師 中川厚雄氏の遠友夜
学校に関する朝日新聞への投稿記事を恵迪寮同窓会全役員へ配信
したところ、本同窓会副会長でもある藤田正一北大名誉教授(元北大
副学長)から、以下のようなメッセージが寄せられました。
藤田副会長ご本人の了解が得られましたので、同窓会ホームペー
ジでご披露させていただきます。(文字数の関係でHP「談話室」に掲

載できませんでした。事務局からのお知らせのサイトを使う次第です)
<以下、ほぼ原文のとおりです>

遠友夜学校の記事、ありがとうございます。

記事の中にもあります が、今年が遠友夜学校設立120周年に当たり
ます。

こともあろうにその年に、札幌市教育委員会は札幌市資料館(旧札
幌控訴院)に展示されていた遠友夜学校記念室を閉鎖し、史料は北
大に譲渡するということにしてしまいました。
何故、急に記念室を閉鎖したのかと言うと、あの資料館を札幌市主
催の国際芸術祭に使うからということです。自らの、世界に誇るべ
き文化遺産の記念室を閉じて、札幌を芸術と文化の町として世界に
発信するのだそうです。あきれるばかりです。

それだけではありません。遠友夜学校記念室は、元々、遠友夜学校
があった場所、新渡戸稲造が私財をはたいて札幌独立教会から買っ
た土地に立っていたレッツ中央勤労青少年ホームの中にありました。
平成2011(平成23)年10月勤労青少年ホーム移設にともない記念
室はそのまま札幌市資料館に移設されて展示されました。更地となっ
た跡地の利用についてはマンションに売却することが検討されてい
るなどという噂が立ち、地元市民が公園にしてくれという陳情をした
ため、市もこれを受けて公園とすることに決定しました。

ところが、この土地は元々遠友夜学校の運営母体の財団が所有して
いた物を、札幌市が寄贈するように申し入れ、財団が条件付きでこの
土地を札幌市に無償譲渡したものです。その条件には、青少年の健
全育成を目的とした施設を設置することなどの他に、「新渡戸先生
並びに遠友夜学校関係の業績を記念顕彰する施設、設備を、市と
財団で協同して設置する。」という項目が含まれていました。札幌市
はこの約束をすっかり忘れてしまったのでしょうか。記念室を閉鎖
し、関係資料は北大に譲渡してしまっては、上の約束を果たし得な
いでしょう。

一昨年12月に、私は遠友夜学校の生徒だった山崎さんという方から、
遠友夜学校に関する講演を依頼されました。山崎さんのお宅は遠友
夜学校跡地のすぐそばで、洋裁教室を営んでおられる関係から、そ
の教室で講演をしましたが、多数の方が見え、私の講演の直後に、
札幌市がその気がないのなら我々市民の手で遠友夜学校記念館を
建てようというグループ「新渡戸稲造と札幌遠友夜学校を考える会」
が発足したということで、しばらくしてから私にも顧問として会に加わ
ってほしいという要請がありました。計らずもアジテーターになってし
まっていた訳であります。この「考える会」が札幌市に陳情して、既に
計画が決まっている公園の一角を記念館設立のための土地として
市より「借りる」ことが承認されました。本来、市が行うべきことを市
民が行うというのに市は地代をとるのでしょうか。

私はよろこんで「考える会」のメンバーになりましたが、今でも札幌市
が市民と交わした約束を履行すべきであると思っています。
即ち、新渡戸稲造と遠友夜学校の業績を顕彰する施設は札幌市の責
任において建設すべきであると思います。

私の講演を聴きに来てくださった人々の中には、遠友夜学校の教師
だった半沢先生の息子さんや、遠友夜学校の生徒だった梅野キンさ
んが見えておりました。

梅野さんは、「私の先生はまだお元気で横浜の方にいられる。宍戸
先生だ。」と言っておりました。まぎれもなく我等が先輩、あの寮歌
「嗚呼茫々の」作歌者の宍戸先輩のことであります。時代背景と合わ
せて、宍戸先輩が遠友夜学校の先生だったんだなあと考えながらあ
の寮歌の歌詞を読むと、また新たに感じるものがあります。

さて、その後の「考える会」の活動は活発で、記念館の設計公募や
遠友夜学校記念フォーラムの実施、ホームページの作成、建設基金
の寄付集めなどを行っております。
今、考える会が切望しているのは、北大関係者が会に参加してくれ
ること、あるいは、あの土地の利用に関して、遠友夜学校記念施設
設立の約束を札幌市に守らせるように声を上げてくれることであり
ます。
遠友夜学校は北大生と北大の教員が深く関わった、北大の遺産でも
ある訳です。北大から声が上がらないでどうするのですか。

最後に、私は2005年から北大の遠友学舎で平成遠友夜学校という市
民向けの公開講座を学生ボランティアの協力を得ながら行っていま
す。毎週火曜日の夜6時半から、北大生や北大教員に講義をしても
らっています。今年で10年になり、行われた講義も通算で400回
ぐらいになります。講義の後にはみんなで都ぞ弥生を歌います。
一度のぞきに来てください。

以上