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第18回 平成29年開識社講演会の開催(10/25)報告

[事務局からのお知らせ] [北海道支部]

10月25日(水)18:00~ 第18回北大恵迪寮同窓会開識社講演会が、札幌時計台ホールにて開催され、同窓生や北大関係者だけでなく多くの市民を含む96名の参加を得ました。

演題は、「南極昭和基地と北大恵迪寮」。講師は、恵迪寮同窓(1998年入寮)で医師の森川博久氏。氏は、2005年に北大医学部を卒業し現在は家庭医として鹿児島県立大島病院総合診療科医長の職にありますが、2015年~2017年、第57次日本南極地域観測隊越冬隊医療隊員として、約1年4ヵ月間南極での任に就かれておりました。

久々に行なったという森川氏の「寮式」自己紹介から始まった講演では、越冬隊員としての経験談を中心に昭和基地や隊の業務の説明、そして南極の厳しくも美しく壮大な自然を紹介していただきながら、後半は、恵迪寮での生活がどのような意味を持ちその後の越冬隊員として活躍する道へどのようにつながっていったのかを語っていただきました。

「医療隊員の業務は診療よりも雪かきの方がずっと多い。」
「南極の新雪は、スコップがたたないほど硬い。」
「ペンギンは野生でも人懐っこい。結構近寄ってるが、規則でもそれ以上近づいてはいけないと決められている5mの距離で、Uターンしていく。」
「越冬隊の医療隊員は何故か工事作業の際のセメント担当者と決まっている。」
「気象観測担当は、どんな悪天候でも毎日2回は外に出る。」
「ブリザードの時は、基地内の別棟の建物に行くだけでも命がけ、過去に遭難死亡の例がある。」
「毎日の夜のミーティングは、その日の全員の無事業務終了と安全を確認する最重要の集まり」等々、講演では、終始たくさんのスライドや動画を使って微に入り細にわたった説明が、氏の性格を思わせるユーモアたっぷりの語りで行われました。

参加者に記載いただいたアンケートでは「非常に分かりやすくおもしろかった。」「普段聞けない話がたっぷり聞けた。」「南極や越冬隊に大変興味が持てた。」といった感想が多く聞かれました。

また、実際に現地で長期活動した者にしかわからない、厳しい気候の中での基地生活での機微が非常に興味深く思われました。およそ30名の多職種のプロ集団である越冬隊。それが閉ざされた生活空間で同じ釜の飯を食い、飲み語らい、自らの役割を全うしつつ互いの業務を連携協力しあい、時には価値観を衝突させ、相手の意見を聞く素直さと忍耐と思いやりを日々求められる中で、仲間との強固な一体感を実感する。「かつての恵迪寮での共同生活体験が大いに役立つものだった。」と、氏は語っておられました。

我々が寮生活で培ったものが、地球上最も過酷な地での生活にも役立つ普遍的価値のあるものであることを改めて確認できた非常に意義のある講演でした。

恵迪寮同窓会北海道支部・開識社講演担当 町田幸作記(S60入寮)

講師の森川博久氏

 

司会をする開識社担当の難波茂之さん

 

開会の挨拶をする内藤春彦北海道支部長

 

後ろに座っている開識社の元祖クラーク博士の視線を浴びながら講演する森川博久氏

 

熱心に話を聞いている参加者の皆さん

 

耳を澄まして聴く参加者

 

以上