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クラーク像制作者の彫刻家・田嶼碩朗(たじま・せきろう)の展覧会を拝見‼

[サロン]

■昨日(2022.10.9)、Hue Universal Gallery(北海道教育大学 アーツ&スポーツ文化複合施設)で、開催されていた彫刻家・田嶼碩朗の遺作展を見てきた。田嶼碩朗は、1878年福井県坂井郡三国町に生まれ、明治、大正、昭和の三時代にに活躍し、彫刻界の元老と評され、道内では北大のクラーク像、大通公園の聖恩讃仰塔(せいおんさんぎょうとう)等を制作したことで知られている。

■会場には、クラーク像を制作した1926年(大正15年)に、北大関係者に贈った小型版「W・S・クラーク先生小胸像」をはじめ、60点が展示されていた。クラーク像は北大の前身・札幌農学校の創立50周年を記念して建立された。北大から制作者として適任者を推薦するよう依頼された東京美術学校(現東京芸大)が、彫刻専攻の卒業生である田嶼を推したといわれている。クラーク博士の小胸像については、アメリカの遺族に送ったところ、「生き写しだ」と喜ぶ礼状が届いたという。この他にも興味深い作品が多々あったが、個人的には十勝の開拓に先鞭をつけた「依田勉三翁座像習作(鋳鉄 1941年昭和12年)」に興味があった。

ウイリアム・スミス・クラーク先生小胸像;鋳銅 1926 大正15

 

展示会場の札幌軟石で作られた内壁に掲示されていたパネル

 

依田勉三翁座像習作(鋳鉄 1941年昭和12年)

 

■現存のクラーク胸像は、田嶼碩朗により1926年(大正15年)5月14日に建立された元像が1943年(昭和18年)6月に太平洋戦争で金属供出したため、田嶼没後の1948年(昭和23年)10月に加藤顕清(かとう・けんせい。岐阜県生まれ、北海道深川市育ちの彫刻家)が田嶼の残した石膏原型を元に元像に忠実に再現した複製といわれている。

■この展覧会は、札幌在住の曾孫(ひまご)森嶋博さんと村上彩子さんらが企画し、小品を所蔵する関係者に呼びかけて実現したとのことである。素晴らしい作品を拝見することができ、感謝申し上げます。

《投稿者》八重樫幸一(S41恵迪寮入寮。恵迪寮同窓会相談役兼広報委員会顧問)