『日本のオールターナティブ』を拝読して
[サロン]
この度、藤田正一氏からご自身の著書『日本のオールターナティブ』をご寄贈いただいた。
■取りあえず書籍の紹介から始めたい。
▲著書名:日本のオールターナティブ
▲定価:2,520円(本体2,400円、税120円)
▲発行所:㈱銀の鈴社
▲著者:藤田正一
▲購入方法:著書名を入力し、ネット検索すると直ぐ注文できる。
■感想や課題など
著書『日本のオールターナティブ』の宣伝も兼ね、若干の感想等を申し述べてみたい。
Ⅰ.まず、本書を通読して勉強になった点をいくつか列挙してみたい。
(1)黒田清隆が札幌農学校の開校に大きな役割を果たしたということが具体的に述べられている点である(第1章)。
ついでにいえば、私は黒田が長州の人ではなく薩摩の人であったということは、札幌農学校にとっては大変幸運なことだったと思っている。
(2)開拓使仮学校・札幌農学校初期の校長たち4人について、札幌農学校初代校長・調所広丈を除いて始めて氏名と人物像を知る機会を得た(第4章)。
Ⅱ.次に、今後の課題(八重樫にとっての)について述べてみる。
(1)「Boys’Be Ambitious」の真意
本書57ページに次のような記載がある。
自由やambitionは重要であるが、ともするとわがまま、私利私欲の追及までも含む可能性がある。紳士たるためには、他者に対する配慮が不可欠であり、おのずと我欲は排除される。自由のうちに紳士たるに足る確固としたプリンシプルを持った個を確立することをクラーク博士は学生たちに求めたのである。
「北大略史」においても、「大志を抱け」という言葉の真意として「金銭や私利私欲や、人が名声と呼ぶようなはかないものに対してではなく…」と説明されている。
ただ現実問題としては、金銭や私利私欲とどうバランスを取っていくか極めて難しいと言わざるを得ない。
金銭や私利私欲とバランスをとるために、著者が言うように、「紳士たるためには、他者に対する配慮が不可欠であり、おのずと我欲は排除される。」ということでなければならないとすれば、やや息苦しくなりはしないだろうか。
私は、前段の「他者に対する配慮が不可欠であり、」はそのとおりだと思うが、後段の「おのずと我欲は排除される」は、「排除」ではなく「抑制もしくはコントロール」されるが妥当なところではないかと考える。
そしてこの問題を整理するには、売り手よし、買い手よし、世間よしの「三方よし」を経営理念とする近江商人の商人道を援用するのも一つの方法ではないかと思っている。
(2)新渡戸稲造の「武士道」
紙面の都合で記載省略した。
全く取りとめのない記載となったが、ご容赦のほど…。
以上