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2022年「文化講演と寮歌の集い」報告 北大ホームカミングデー2022

[事務局からのお知らせ]

2022年「文化講演と寮歌の集い」報告 北大ホームカミングデー2022

恵迪寮同窓会は北大ホームカミングデーに2013年より参加し、北大・恵迪寮の精神と寮歌の継承を目的に「文化講演と寮歌の集い」を行っています。
・日時:令和4年9月24日(土)
文化講演会;13:00~15:00、クラーク会館・大集会室
寮歌の集い;15:30~17:00、クラーク会館西側の日本庭園
文化講演会は、昨年は「恵迪寮と寮歌」をテーマに高井宗宏恵迪寮同窓会理事(S31)による講演をオンライン配信しました。今年は「恵迪寮と寮歌Ⅱ」とし、クラーク会館・大集会室を会場とし講演・シンポジウムを開催しました。
続く寮歌の集いは、クラーク会館西側の日本庭園で開催し、16曲を放歌高唱しました。
文化講演と寮歌の集いの様子はオンライン(YouTube)でも配信しました。会場での参加24名、オンライン視聴で10名の参加を得ました。
運営にあたった事務局佐藤静子様はじめ北海道恵迪寮同窓会役員諸氏に感謝いたします。

*文化講演会資料:恵迪寮同窓会ホームページ・事務局からのお知らせに掲載
*YouTube動画;恵迪寮同窓会ホームページ・サロンでの最新投稿に掲載
なお、今回の講演・シンポジウム内容についてのご意見・ご提案はホームページを通してお願いします。

【挨拶】
横山 清理事長(S31)は北大ホームカミングデー水産学部への出席のため挨拶は藤田正一副理事長(S38)。ホームカミングデーは卒業生が懇親する場ばかりではなく北大をより良くするために大学側へカツを入れる場でもある。札幌農学校精神を継承する恵迪寮同窓会は寮歌を大声で歌って北大へ寮歌に示される精神・魂を入れよう。

【文化講演会】
【基調講演の内容】
藤田正一副理事長(S38)により『「寮歌」―歌詞に見る寮生の心情、培われる精神、北大らしさとは―』と題し講演をいただきました。
恵迪寮寮歌は自然への感性と寮友との共感を特徴とする。
クラーク博士の訓え、札幌農学校の精神である貴き野心の訓えLofty Ambition、自主独立の精神を持った自律的個の確立Be Gentlemenは各時代の先人の言や寮歌に表現され受け継がれてきた。一期生による理解、「都ぞ弥生」の歌詞「貴き野心の訓え培い」、横山芳介が無償で務めた札幌遠友夜学校での実践、有島武郎作歌「永久の幸」など多くに示される。
自治・自由の精神は、時代状況に応じ戦時下では自由・自治を鐘の音、伝統と言い換え、抵抗し受け継がれてきた。昭和20年入寮の1年生、細野順三氏はわずか入寮数ヶ月で終戦時の日記にクラーク博士の開校式辞を引き合いに出し決意をあらわしている。
札幌農学校の精神と自治をいかに護りいかに後進に伝えていくか。現在の自治意識の低迷、札幌農学校精神の希薄化を憂い警鐘を鳴らされた。自治と寮歌は表裏一体である。

【話題提供】
続くシンポジウムでは、千原 治君(S50・北海道副幹事長)は、寮歌集の校訂について話題提供した。寮歌集には、誤字や校訂・印刷時での変化がみられ、「春雨に濡る」などを事例として校訂の必要性を示した。その際大切な事項として現寮の同意、同窓会内の同意、目的・基準等の明確化を提案した。
村橋究理基君(H22・広報委員長)は、寮歌集アプリの作成意図を話題提供した。紙・口伝ではなくデジタルアーカイブを目指し寮歌集アプリをWebで公開し、新たな普及継承のありかたをしめした。また、「都ぞ弥生」でさえ3番「ヒョウヒョウ(火が三つに風)として」の漢字が正しく標記されていない媒体が散見され、由々しき事と憂えた。

【総合討論】
谷口哲也君(S48・副代表幹事)の進行により総合討論を行った。
まず、寮歌集の校訂について、歌詞・文言の意味するところを理解することは、作者・環境・時代に思いをはせ理解を深め重要である。寮歌集の校訂は膨大な作業が想定されるがなすべきである。
歌い方の変化について、「歌い継がれてきた間に歌いやすいように自然に変わってきた・・・歴代の四高生の作曲であるというのが妥当であろう(四高寮歌作曲者・梁瀬成一)」を例に、現在の歌い方で楽譜を固定する意味がない。一方、「都ぞ弥生」だけは正調?統一調?ともよぶべき調により老いも若きも一緒に口ずさみたいもの。
また、蒙古放浪歌を原曲とする水産放浪歌など旧制寮歌には他の寮歌と類似する歌詞・曲も多く、寮歌議論にのぼるが、出自を明記のうえ堂々と歌うのがよい。
つぎに、寮歌の継承について、寮歌・寮自治は表裏一体であり、寮自治が続く限り寮歌は作り続けられるだろう。寮歌は環境に影響されるが、まず寮を維持持続させること、現在検討されている寮改修においては単に安アパートではなく自治を考慮した寮とするよう大学側に要請していくこと、同窓会をはじめ寮生意識においても寮自治に大いに関心を持つことが大切である。など多くの課題とともに方向も示された。

閉会挨拶で、吉沢武治代表幹事(S45)から、未収集寮歌集をはじめ資料収集を支える知財委員会も準備された。今日示された課題を進めることは同窓会の使命であり同窓会をあげて取り組むと総括した。
(野本 健(S47・文化常任委員長))

 

【寮歌の集い】
「文化講演」に続いて「寮歌の集い」をクラーク会館西側の日本庭園にある四阿「大志亭」付近で開催した。昨日来の雨も午前中に止み、寮歌祭を祝うかのごとき秋の日こぼれる会場となった。6月の寮歌祭もこの会場であったが、コロナ禍の中でも遠慮なく大きな声で歌うことができる絶好の場所である。
遠路駆けつけてくださった東日本の坂倉雅夫会長(S44)、西日本の間中俊夫先輩(S33)とその娘さん、小樽商科大学関係者、そして北海道の参加者を含め計23名の多彩な参加を得て、15時30分予定通り内藤春彦会長(S40)の開会挨拶で始まった。大谷文昭寮歌部長(S43入学)の軽妙な司会で、参加者が自分の歌いたい寮歌をコメントとともに紹介し、それを皆で歌うという形式で進められた。
歌われた寮歌は次のとおりである。(歌唱順)
「春来にけらし」(昭17)、「蒼空高く翔けらんと」(昭2)、「時潮の波の」(昭21)
「タンネの氷柱」(昭8)、「暁の渚離りて」(昭22)、「春雨に濡る」(大12)
「小樽商大 若人逍遥の歌」、「寒気身を刺す」(昭42)、「茫洋の海」(昭35)
「瓔珞みがく」(大9桜星会歌)、「一帯ゆるき」(明40)、「快速エアポート」(平24)
「我楡陵に ―行秋哀歌」(平2)、「湖に星の散るなり」(昭16)、「魔神の呪」(大6)
最後は、明治45年寮歌「都ぞ弥生」を声高らかに歌って締めた。
千川浩治副会長(S40)の閉会宣言は夕闇迫る17時ちょうどであった。
(千原 治(S50・北海道同窓会副幹事長))