恵迪寮同窓会発足

 明治以来の堅固な木造寮舎を、おのが魂の揺籃につながる青春の記念として、また自治制など幾多の困難を克服してきたあかしとして永久保存したい、こうした旧寮生たちの願いが、恵迪寮同窓会の結成をうながした。旧寮閉寮直前の昭和58(1983)年3月18日の結成大会で、昭和2年入寮の星光一北大名誉教授を会長に選出した同窓会は、寮舎の一部保存について、北大や北海道庁に働きかけ、その協力を得て、北海道開拓の村への移設を実現させることが出来た。さらに同窓会では、伝統の「恵迪寮」名の新しい寮舎への継承を訴えた。これは、当時の有江学長の理解を得たものの、その後の大学と寮との「入寮銓衡」をめぐる抗争などによって、正式な実現をみるのに6年もの歳月がかかった。旧制以来の寮で唯一毎年続けられた寮歌の制定は、新しい寮へも引き継がれた。明治9年の札幌農学校寄宿舎第1期入舎生以来の寮生は、約1万2,000名を数える。恵迪寮同窓会はその調査を進め、これまで2回「寮生名簿」を発刊した。昭和8年の「恵迪寮史」発刊以降の寮の歴史を綴った「恵迪寮史第2巻」(寮史編纂委員会刊行)の刊行を資金面で助け、同窓会編集の「恵迪の青春」を昭和61年に発刊、さらに今回の歴史写真集の発刊となった。今、恵迪寮同窓会は、恵迪寮の歴史が寮生のみによってではなく、大学と市井人の物心両面にわたる支援の中で築かれたとの認識の中で、これからの活動の拡がりを図っていこうと決意している。
 

第1回総会で挨拶をする星会長

第1回総会・大寮歌祭会場(於札幌、昭和58年)

 


高倉新一郎先生のお祝詞

恵迪寮ゆかりの右、名峯先生と左、水野さん