恵迪寮史の刊行

恵迪寮史は、今日までに3冊発行されている。 
昭和8(1933)年11月に刊行された第1巻は、当時の総長南鷹次郎先生の扉字と佐藤昌介初代総長から題字を受け、第1編「札幌農学校生活史」、第2編に明治9年から昭和7年末までの50年に亘る「恵迪寮寮史」、それに寮歌集、寮生名簿、回顧録を収録した総ページ1128頁に及ぶ大冊である。
 
次いで昭和18年正月に「恵迪寮小史」が刊行されている。これは第1巻の継承と、より正確な内容への改訂版ということで調査を継続していたが、第2次世界大戦の勃発によって中止を勧告されたものの編集者たちの熱意によって、175頁の小冊ながらようやく刊行に至っている。その内容は、札幌農学校史であるが、寄宿舎制度の変遷と自治制の記事に新しい視点が追加されている。
この2冊は、昭和50年11月に復刻版が刊行されている。
 
恵迪寮史第2巻は、第2代寮舎が解体されるのを契機に編纂が始まり、昭和62(1987)年3月に刊行されている。これは第1巻の続編とし、昭和8年の第2代寮舎開寮から昭和58年の閉寮までの自治寮史を克明に記載し、これに寮歌集、大学の寮管理の強化経過を示す資料集、回顧録を加えて総ページ1574頁に及ぶ大冊である。刊行資金不足で発行が遅れていたため、本会が資金支援を行って刊行に至った。
 
いずれも若干20歳前後の学生の思想と生き様、自治の継承などを示しており、明治9年から100年間に起きた青春の記録であるため貴重な資料である。
なお、これら3冊の寮史は、現在も本会で販売している。