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会長挨拶
恵迪寮の男たち (会誌「恵迪」2010年第10号より)
恵迪寮同窓会会長 横山 清(S31年入寮)
新緑のエルムの森では北大祭が始まり、9月には鮭が母なる川を遡る如く総会を目指して恵迪男女が北大に回帰します。
今年は「60年安保」から50年と報道されました。咄嗟に思い出したのは20年前出版の「北大恵迪寮の男たち」(安保から30年)向井承子氏の力作でした。登場するのは昭和32年入寮組のうち生協理事長だった河村征治氏など13名の生き様を追ったノンフェクションです。著者は、あれからあなたは、どう生きましたか?と問いかけています。
私は寮生活を共にした当事者として定年を目前にした恵迪同窓の30年にわたる苦悩と奮闘ぶりに共感と感銘を受けたものです。「色々な生き方があるのだなぁ」と紅顔の諸氏を想いながら更に20年たちました。この本の登場人物は70路の半ばを辿り、全国に分散しながらも同窓会幹部あるいは熱烈なシンパとして縁の下を支えているのですから面白くも、又頼もしい限りであります。
同窓会は結成から27年を経ました。恵迪の名を残し自治の確立と寮歌を継承し良き伝統を守るという誓いは、決して満足できる結果ではありません。伝統を守るのは決して容易なことではなく伝統を守っているつもりでも単なる模倣かマンネリズムに過ぎないことがあります。時代々々の社会的影響を考慮し、守り育てる不断の努力が必要にして不可欠なのは言うまでもありません。
明治45年寮歌『都ぞ弥生』の誕生百年があと2年と目前に迫りつつあります。
この百年は恵迪に係る人の歴史であり、北海道大学の精神的在り方を受け継ぎ拡充発展せしめてきた成果でもあります。平成19年わが寮命名百年の記念祭は中瀬篤信前会長の卓越したリーダーシップのもと全国の同窓諸兄からの浄財支援も予想を上廻る額となり路傍に埋もれかけていた歌碑が百年元気と甦り数々の行事を成功させ同窓会の財務も好転しました。
しかし高齢社会に於ける同窓会活動は予断を許さぬ状況にあります。問題点の中でも一際気掛かりなのは『都ぞ弥生』を歌えない北大生が急増していることです。入学式で初めて耳にし、卒業式では背景音楽として聴き学園を去るという信じ難い状況を看過す訳にはいきません。百周年までに積極的な支援を行うことが喫緊の課題です。
最後に明るい話題。新春、寮歌歌始めの会で繁富一雄名誉会長の白寿の祝いが催され祝の品白桃を象った99個のお饅頭の前で御夫妻がドイツ語で『野ばら』を合唱されました。生きるということは人を愛すること、情熱をもって燃えることを恵迪寮を最も愛する先輩から教わりました。勿論その後の寮歌斉唱は超大盛況でありました。



